ASC-845Jの詳細回路説明

ASC-845J 真空管アンプ

Ming Da(ミンダ)真空管アンプ【ASC-845J】詳細回路説明<真空管構成と回路構成概要>

本機の最大の特徴は出力管に845を採用したことです。タングステンヒータが煌々と光り輝く、直径55mm高さ185mmの直熱三極管によるパワーアンプです。勿論、素材の良さを追求した完全な無帰還(Non negative feedback;NFB)パワーアンプ構成となっています。
その音は直熱三極管シングルアンプの愛好家にとっては、大変魅力的なものとなっています。シングルのアンプの音の良さに加えて、大きな音でも腰砕けのしない沸いて出てくるような浪々とした低音と切れの良いサウンドには、今までに無い驚きを感じられる一品です。

アンプの回路構成は、初段が12AX7、ドライブ段が12AU7と6SN7なっています。そして初段からドライブ段までこれらの双三極管をパラ駆動としています。このパラ駆動回路で出力管845の組み合わせにふさわしい緻密でかつ鳴りっぷりのよいサウンドを引きだします。

アンプの総合増幅度は、約23dB、ダンピングファクター約2.7、そして残留ノイズ0.9mV(Aネットワークなし、入力端子ターミネイト47kΩ)、歪み 0.15%以下(1W/8Ω at1kHz)となっています。

Ming Da(ミンダ)真空管アンプ【ASC-845J】<初段回路>

初段は双三極管12AX7を採用したパラ駆動回路で増幅度は約37.5dBです。カソード抵抗は1kΩでその両端に1.4Vほどの電圧が発生します。この電圧が初段のグリッドバイアス電圧となります。このときのプレート電圧は約200Vで一本あたりのプレート電流は0.7mAとなっています。
ヒータは交流点火ですが、12AX7のヒータは房熱型ですので交流点火によるハムノイズの混入は皆無です。

Ming Da(ミンダ)真空管アンプ【ASC-845J】<ドライブ段回路>

双三極管12AU7で電圧増幅度し、6SN7でカソードフォロアーとして約18dBを得ています。カソードフォロアーは電圧増幅回路動作に於ける高域劣化を防ぐと共に信号を次段へ出力する過程に於ける信号の劣化を防ぐために回路の低インピーダンス化を図る目的があります。

12AU7のカソード抵抗値は、3.69kΩで、その両端電圧は約10.4Vとなります。このときのプレート電圧は約207Vです。パラ接続のプレート電流は、約2.8mAになります。よってこのときの一本あたりのプレート電流は約1.4mAです。ここでオーディオ信号は最大で約280Vppまで電圧増幅されます。

12AU7のプレート回路に生じたオーディオ出力は、6SN7のカソードフォロワー回路に直結されます。カソードフォロワーは低出力インピーダンス(数kΩ)となって、カップリングコンデンサー0.47μF/630WVを通じて出力段のグリッドを約-123Vを中心に最大280Vpp以上までフルスイングします。

出力管845は低増幅真空管(電圧増幅度μは約5)ですので、ドライブ段は大変大きな電圧を歪むことなく出力管に供給することが良い音を出す条件となっています。この845のグリッド回路を駆動する能力を十分とすることで実在感のある広大な音場と伸びのある音が引き出されます。

6SN7のカソードフォロワーの電圧、電流は、カソード抵抗は100kΩで、その両端電圧は約218Vです。このときプレート電圧は約378Vです。パラ接続のプレート電流は、約2.18mAなので、それぞれのプレート電流は、約1.1mAとなります。

Ming Da(ミンダ)真空管アンプ【ASC-845J】<歪打消し回路>

正しく作られたアンプの歪は、小音量では、非直線部はほとんど使われないため歪は発生しません。仮に、歪が多いとすれば、それはオーディオ信号の歪ではなく、アンプ自身の固有雑音の量によるものです。
真空管パワーアンプの歪みは出力が大きくなるに従い少しずつ増加します。その歪の増加は緩やかな曲線を描き、主な歪み成分は入力信号周波数成分の2倍に生じます。
大出力真空管シングルアンプで負帰還なしでオーディオ信号を損なうことなく出力するAクラス動作では、アンプの歪は、初段部及びドライブ段の入力電圧に対する出力電圧の非線形部と出力管845の持つ入力電圧に対する出力電圧の非線形部がお互いに打ち消す合うように組み合わせます。これこそが、大出力真空管アンプの技の見せ所です。それぞれの真空管が持つところの非線形をお互いに打ち消し合うように組み上げる組み合わせ回路技術という技です。

オーディオアンプの目的はどのような真空管を採用したとしても、良い音です。その音を左右する歪を最小化するには、この真空管の歪みどうしの打消し効果を最大化することが大変重要になります。

Ming Da(ミンダ)真空管アンプ【ASC-845J】<出力回路>

出力部は、大型出力トランスを用いた845シングルアンプ回路となっています。
ここではオーディオ信号を十分増幅し大型出力トランスを通じてスピーカーを駆動するための電力を供給します。

直熱管出力管(845)のカソードはヒータになります。そのヒータとGND間の抵抗は1.6kΩ/25W抵抗をパラ接続して800Ω/25Wとしました。この抵抗両端の電圧がグリッドバイアス電圧となります。

845動作時の800Ω/25Wの両端電圧は、約123Vになります。このときのプレート電圧は約990Vでプレート電流が約76mA流れます。プレートとヒータ(カソード)間の電圧は、867V(990V-123V)になり、845のプレート部の消費電力は約66Wとなります。

845の最大プレート損失は75Wですので約10Wほど余裕があります。これで845は、安全領域でのAクラス動作となっています。

Ming Da(ミンダ)真空管アンプ【ASC-845J】<出力管のヒータ回路とその調整について>

本機では自己バイアス回路としているため、はじめに、電源ボタンを押して845のヒータを十分加熱します。このとき、ヒータの加熱と共にわずかなノイズがスピーカから出ます。約1分経過しましたら本機の中央部にあるスタンバイスイッチを押してプレート電圧を与えます。これでアンプがスタンバイとなります。

真空管845のヒータは、トリウムタングステンと呼ばれる材質で作られたヒータで、眩しいくらいランプのように明るく光ります。金属のタングステンは融点が約3400度の金属で、加熱すると熱電子を放出しやすい性質があります。真空管はこの熱電子を使って動作します。このランプのようなやさしい光は、癒し効果も見逃せません。

845のヒータ電源は、10V、3.25Aで、本機では直流点火を採用しました。これは現代アンプに要求される残留ハムノイズを下げるために手段です。ヒータ回路からのハムノイズが出力信号に混入することを避けるため、直熱型三極管のヒータ点火技術です。

更に、直流点火に加えてヒータ回路には、バランス調整用の半固定抵抗器を装着しています。これはヒータの直流電源にわずかなリップル成分があった場合でも残留ノイズとして聞こえてしまうため、その残留ノイズをキャンセルするために用いるものです。

ヒータ(カソード)の両端に接続した半固定抵抗の中点からアースに流れる電流(プレート電流)のバランス調整を行うことで、スピーカから出る残留ハム音を最小にすることができます。ここでは微調整ができるように抵抗には半固定抵抗器が使用され、その接点には、安定性が要求されます。

真空管の入れ替えにおいて、もし一定以上のハムノイズを感じられる場合は、本機の性能を最大限引き出すために調整が必要です。残留ハムノイズを1mV以下に調整します。内部回路での調整となりますので、必ずプロのサービスショップにご依頼下さい。内部電圧が1000Vを越えるアンプですので、ユーザー様がご自分での調整は大変危険です。
安全の為にアンプの裏蓋は開けない様にお願いします。調整が不適状態では、SP出力端子に2mV程のハム音が出ます。

Ming Da(ミンダ)真空管アンプ【ASC-845J】<カップリングコンデンサー>

音に影響するカップリングコンデンサーの使用については、初段の0.1μF/450WV、ドライブのカップリングコンデンサー0.47μF/630WVの2個のみに限定し、良質なコンデンサーを採用しました。これによりオーディオ信号が通過する回路は、大変シンプルな部品構成となっています。

Ming Da(ミンダ)真空管アンプ【ASC-845J】<電源回路>

出力管845のバイアス方式が自己バイアス方式の回路構成では、真空管の熱電子の放出量が十分出揃う前にプレートに高電圧が与えられますと大きなプレート電流が一時的に流れ真空管を破損したり、寿命を短くします。
そこで本機では電源(Power)SWボタンとスタンバイSW(Protective SW)ボタンの二つがあります。

845はプレート電圧として+1000Vという高電圧を必要とする真空管です。
スタンバイSWボタンが押されていない状態では845にはヒータ電源のみが通電されます。このとき、AC一次側の電流が約1.1Aとなります。

845のヒータの消費電力は1本あたり10V、3.25Aなので32.5Wで、二本で65Wです。直熱型ではヒータ電源は、それぞれ独立する必要がありますので2回路必要となります。

直流点火のためブリッジ整流し10000μFの平滑コンデンサーを経てヒータに与えられます。

初段12AX7、ドライブ段12AU7、6SN7へは電源SWボタンが押されると同時に動作状態となる電圧が与えられます。トランスの二次側から倍電圧整流で得られた+448Vを平滑回路を経て動作状態電圧+378VとしてLch、RchのB電源として与えられます。

845のヒータが点灯し、余熱がが十分されたら、スタンバイSWボタンを押すと電源トランスの410Vがシリコンダイオード3本のシリーズ接続により逆耐圧を確保した倍電圧整流回路に接続されて約1050Vを得ます。1050Vは、845動作状態一本あたりプレート電流76mAに回路分が200Ω/10Wと130μF/1170WVによる平滑回路を2段経てプレート電圧約+993Vを得ています。

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